インフルエンザ予防接種

日中は季節外れのうっすら汗ばむ陽気、朝晩は秋の冷え込みと寒暖差の大きい日が続きます。体調崩して来院される方が増えており、皆さま体調管理には気をつけて下さい。

だんだん寒くなってくると、流行り始めるものの一つにインフルエンザがあります。

クリニックではインフルエンザの予防接種を開始しています。

通常の風邪と比較して全身症状が強く、高齢者や慢性疾患のある患者さんでは気管支炎や肺炎を合併して重症化しやすいという特徴があるので警戒が必要な疾患です。

インフルエンザの病原体はインフルエンザウイルス。我々の細胞内のタンパク合成工場であるリボソームを乗っ取ってウイルスの遺伝情報だけを専門的に読みとらせて、細胞に全力でウイルス遺伝子とその構造蛋白を製造させます。ウイルスに乗っ取られた細胞は本来の職務の蛋白合成を放棄しウイルスづくりに専念。24〜48時間で細胞あたり10の6〜10乗というウイルス粒子を生産すると言われていますので、その製造速度は脅威的。

大変迷惑なウイルス感染ですが、我々ヒトの全遺伝子情報の8%がウイルス由来と言われており、生命の進化の歴史とウイルス感染は密接な関連があります。染色体に潜り込んで居候しているウイルス(今では遺伝情報と化していますが)の中には単にブラブラしているだけではなく、胎盤形成に関与したり、レトロウイルス感染への防御に働いたりと重要な役割を担っているものもいます。

生命進化に不可欠なウイルス感染・・・とは言え、敵対的なインフルエンザウイルスに感謝する気にはなれませんね。ワクチン接種はインフルエンザ重症化の危険性を軽減する有効な手段。効果発現には接種から2週程度かかり、効果持は成人の場合5カ月程度とされています。

大流行の前に早めに接種をするようにしましょう。

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秋の花コスモス。東山植物園にて

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クリニックの植え込みにも秋の気配。金木犀が咲き始め、よい香りがしています

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運動の秋

朝夕随分冷え込むようになりました。

風邪など体調を崩して来院される患者さんも増えてきています。

体温調節のできる衣服の工夫、帰宅時の手洗いうがいなど体調管理に注意が必要です。

10月で当院は開院1周年を迎えました。2020名を超える新規の患者さんが来院されましたが、地域医療のニーズは様々。健康上の問題が泌尿器科や内科といった枠組みを超えていることもしばしばで、専門領域について最新の知見をアップデートしていくだけでなく、他領域についても幅広く押さえていく努力が欠かせません。ホームページで掲げるように「何でも相談できる総合的な診療所」を目指している当院としては、なお一層の研鑽に努めてまいります。

さて日頃の診療で、生活習慣病対策として適度な運動、適正な食事をせっせと勧めている訳ですが、医者ほど不養生な職業はないと言われる通りで、どうも腰回りが成長してきました。先日の体育の日は爽やかな秋晴れ。適度な運動をということで彦根で史跡巡りをしてまいりました。彦根といえば国宝の彦根城。近郊の城から門や櫓、部材を移築して作られた「リサイクル城」としても知られています。

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羽柴秀吉築城の長浜城大手門を移築したと伝わる天秤櫓

左右で石垣の積み方が違っており、右側が築城当時の牛蒡積。左側は江戸期の改修による落し積です。

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大津城天守を移築したと伝わる天守

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浅井長政の居城で知られる小谷城天守を移築したと伝わる西の丸三重櫓。

リサイクルによるコストカットは今も昔も変わりませんね。

国宝の彦根城が注目を集めますが、JR線を挟んで石成三成居城の佐和山城跡があります。

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佐和山城本丸跡から望む琵琶湖と彦根城。佐和山城跡には構造物はほとんど残っていませんが、ハイキングにはピッタリ。良い運動になります。

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こちらは今夜の名古屋城清州櫓と月。この櫓も清州城の天守移築という言い伝えがありましたが、調査の結果否定されています。秋の虫鳴き声が響く中の櫓と月は風情があります。

 

秋は運動習慣を始めるのには良い季節です。まずは散策からどうでしょうか。

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秋の夜長に

雨の日が続きます。

秋の恵みに増えつつある体重を気にしつつも、こうも天気が悪くてはランニングも延期。

秋の夜長といえば読書ということで今夜も部屋に山積となっている本の中から発掘作業に励みます。まぁ暑くても寒くても年中やっている日課みたいなものですが、秋の虫の声が響く中の読書は風情があって格別です。

色々引っ張り出して読み始めると、あっという間に時間が過ぎていきます。

発掘品は医学書、解剖図譜、歴史書、小説、料理本などなど雑多ですが、児童文学も結構混じっています。児童文学といっても子供向けのやさしい本ばかりではありません。

あらすじを追ってはいけないナンセンス文学の巨峰「不思議の国のアリス」もなかなか手ごわい作品の一つですが、こちらは以前とりあげたので、今回はコレクションの中から「星の王子さま」(サン=デグジュペリ作)を少しご紹介。私の持っている訳本は新潮文庫版(河野真理子訳)ですが、人気を反映して数多くの邦訳が出版されています。この作品もザッと一読しただけでは謎だらけ。再読、再々読がどうしても必要となる物語です。読み直しては「疑問」を自分なりに解釈したり、考えたりすることが、哲学的童話ともよばれるこの作品の鑑賞の醍醐味の一つのような気もします。

作品で最も良く知られているフレーズ「心で見なくてはよく見えない。一番大切なことは目に見えない」は別れ際にキツネが王子に人生の秘密として伝える場面で登場します。それまでのエピソードから、ものごとの価値がそのものの価値によるのではなく、自分とそれとの間で結ぶ関係によって決まる(作中でキツネはきずなを結ぶと表現)ということを示していると考えていますが、読み手によっても色々とらえ方が変わる部分かもしれません。

「価値が目には見えない関係性の中にある」というテーマは印象的です。

おとなも楽しめる児童文学。秋の夜のお供にいかがでしょうか。

 

すっかり夜も更け、外の雨は小降りに。猛烈な台風が沖縄付近を通過中のようです。

皆さま災害にはお気を付け下さい。

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大掃除

今日はクリニックの大掃除の日。

このところ雨の日が続いていましたが、今日は晴れ間が出て掃除日和に。

業者の方に入っていただき院内は再びピカピカになりました。

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当院は10月で開院1年を迎えます。

開院1年はガムシャラに進んできました。

次のステージに進むにあたり、自分達の課題を再点検して、地域の医療の中で一層意義のある存在となっていけるよう研鑽を重ねていきたいものです。

 

さて今日は秋の彼岸明けの日でもあります。

まだまだ蒸し暑い日が続いていますが、「暑さ寒さも彼岸まで」とはよく言われるところ。秋分を過ぎましたので、だんだん日も短くなり涼しくなっていくはず。

 

減量が必要な患者さんには「運動を始めるのに最適な季節ですよ」とお話ししていますが、自分を振り返ってみても「食欲の秋」が「スポーツの秋」を上回ることもしばしば。

冬眠のために秋にせっせと食べる必要のある熊とは違って、人間はこの時期に脂肪をため込んでしまうと減らすのが大変。先には年末年始という体重増加イベントが控えていますしね。

メタボを指摘されている方はこの時期の過ごし方を気を付けるようにしましょう。

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夏と結石

お盆明け。蒸し暑い日が続きます。

ただ空を見上げると真夏の入道雲はうろこ状の雲に替わり、かすかに秋の気配が。

思えば深夜も熱唱していたセミもなりをひそめ、秋の虫の声が耳に入るようになってきました。厳しい残暑が続く中にも確実に秋は近づいてきているようです。

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まだ暑い! 東山動物園にて

 

とは言え、まだまだ脱水傾向になりがちなこの時期、熱中症とならんで患者の増える泌尿器科疾患があります。

 

尿管結石です。このお盆期間もクリニックに何人もの方が受診されました。

非常に強い側腹部から背中にかけての痛みが特徴的。

日本では男性の7人に1人、女性の15人に1人が罹患するといわれており決して珍しくない疾患です。

 

基本的な予防法としては、尿量を増やすことで尿の中の結石形成に導く物質の濃度を低下させることが第一となります。尿が濃くなりやすいこの時期は、積極的に飲水をする必要があります。患者さんの中には結石予防と称して頻繁にビアガーデンに繰り出す方もしばしばいらっしゃいますが、ビールの大量摂取は尿中の尿酸増加や利尿作用に伴う脱水を招きやすく結石予防としては適してはいないので、あくまで嗜好としてほどほどに。

 

ビアガーデンに繰り出すことが治療になるのなら、この時期こんなにうれしいことはないわけですが、なかなかうまくいきませんね。

 

結石予防の観点からお勧めなのは、水やシュウ酸含有の少ないお茶(麦茶、ほうじ茶など)

メタボも結石形成のリスク要因とされているので、ジュースはお勧めしません。

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東区 建中寺 15日お盆の送り火が行われていました

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残暑

立秋を過ぎ、暦の上では秋ですが猛烈な暑さが続きます。

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空にはモクモクと入道雲、アブラゼミは連日大熱唱。

ウチワをバタバタしながらこれを書いている深夜の今も窓の外でセミの大コーラスが響いています。残暑と言いつつも、現実は夏の真っ盛りですね。

過酷な気候に熱中症で搬送される方も増えており、8月9日は全国で693人もの方が病院で搬送されており、なかでも愛知県は54人と最も多かったようです。

日中のイメージが強い熱中症ですが、熱帯夜の続く今の状況では夜間の熱中症にも警戒が必要です。夜間頻尿の患者さんは水分を控えがちですが、控えすぎて脱水にならないよう気を付けましょう。

各家庭、夏ならではの楽しみがあるかと思いますが、わが家の夏の風物詩は岡崎の花火大会。毎年一家で集まって鑑賞するのが決まりのようになっています。

岡崎は江戸時代から続く三河花火の本拠。

江戸幕府を開いた徳川家康は各藩の鉄砲、火薬の製造を厳しく制限しました。

幕府は原則三河のみに火薬の製造を認め火薬の独占を図ります。戦乱のなくなった江戸期に軍事目的の火薬の必要性が薄まり、平和利用として花火が発展することに

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乙川、矢作川河畔より三河花火の発祥の地の名に恥じない大迫力の花火があがります。

体調管理に注意を払いつつ、楽しみながら暑い夏を乗り切っていきましょう。

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涼を求めて

梅雨はまだ明けていないのに、猛暑の日が続きます。名古屋ではアブラゼミも鳴き始めました。

熱中症も全国で猛威を振るい、7月3日は全国で738人が救急搬送されたようです。そのうち愛知県は全国第2位の53人でした。

暑さもいよいよ本番。皆さま気を付けて下さい。

 

先週末は街中はうだるような猛暑。「そうだ涼しげな滝に行こう」ということでは養老に行くことに。

 

中継地は大垣。ここには関ケ原の戦いで西軍の本拠となった大垣城があります。

涼みにいくはずでも城はスルーできずに、汗だくだくで史跡探索。

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関ケ原の戦いでスポットライトを浴びた城ですが、城前の凛々しい騎馬像は石田三成などではなく戸田氏鉄。大垣藩戸田氏の初代とのことです。

 

最終目的地の養老の滝は、滝の水が酒に変わったという孝行息子の伝説「孝子源承内」の舞台です。薪拾いのわずかな稼ぎで老父を養っていた孝行息子。老父の楽しみは毎日の酒。その日暮らしの厳しい生活で酒が十分な量が買えないことを息子が嘆くと滝の水が酒に変わったというもの。

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落差30mの滝は葛飾北斎や歌川広重も題材にし、古来から親しまれてきた名瀑です。

 

滝つぼ付近はひんやりとした空気で、しっかりリフレッシュできました。

途中の渓流も見どころ満載ですが、滝までの道はしっかりとしたハイキングになるので汗だくになります。

 

夏場はお出かけの際も、常に水分補給の計画を立てておく必要がありますね。

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幕末の健診

26日は強い日差しが照りつけ、梅雨の晴れ間となりました。

クリニックは定期の大掃除。業者さんに入っていただいた掃除で、床も窓もピカピカに。今朝は気分も新たに業務に入ることができました。

 

このところ特定健診や前立腺癌健診のために患者さんが来院されることが増えてきました。

記録の残る健診のはしりといえば江戸末期の新選組でしょうか。

幕府典医 松本良順が1865年頃に新選組隊士 170数人に対して健診を行った記録が残っていますが70人もの隊士に異常が指摘され、ワースト3は風邪、食あたり、梅毒となっています。

戦う集団としては結構不健康・・・ 良順は新選組に対し「衛生管理」と「栄養状態の向上」について指導を行っています。現在にも通じる予防医学ですね。

近年日本では梅毒患者の急速な増加が問題視されていますが、江戸期には大流行しており、不治の病と恐れられていました。なお肺結核を指摘された隊士が一人いたことも記録に残っていますが、これがかの沖田総司ではないかという説も。

本格的な健診の開始は明治期から。主なターゲットは当時の国民病、結核でした。

現在では、国民病はガンや生活習慣病に。健診の目的はガンの早期発見、生活習慣病の予防へと時代にあわせて変化してきました。

健康維持の機会として健診をうまく利用しましょう。

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梅雨

梅雨前線の活動が活発になり、西日本を中心に大雨が報じられています。

今日(6/21)の名古屋は午前中は雨でしたが、午後は一転してカンカン照りに。

この時期増えてくるのが熱中症。

消防庁の発表によると先週の1週間で熱中症で搬送された患者さんが1000人を超えたようです。熱中症は真夏だけでなく、体が暑さに慣れていない梅雨の晴れ間や梅雨明けの時期にも毎年高頻度に発生しています。屋外だけでなく高温多湿の屋内でも発生するので要注意。こまめな水分補給が必要ですが、発汗時には汗で失った分の塩分も補給するように気を付けましょう。水だけを一度に大量補給すると、体内の電解質バランスが大きく崩れてしまいます。

ジトジトが続くこの時期ですが、外ではアジサイの花が最盛期。

梅雨の時期を代表する花。しっとりと雨に濡れた姿も風情がありますね。

さすがに豪雨の中で鑑賞しにいこうとは思いませんが。

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蒲郡 あじさいの里にて 赤、紫、白 色とりどり

 

なおアジサイの葉などには青酸配糖体が含まれており有害です。

料理などにアジサイが添えられて、それを食べてしまうことによる食中毒はしばしば発生しているようです。季節感は目で楽しむだけにして、食べてしまわないようにしましょう。

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真夏日

梅雨もまだなのに、暑い日が続きます。

今日の名古屋の最高気温は32.0℃ 今年最初の真夏日となったそうです。

クリニックも午前は窓を全開にしていましたが、気温が上がって午後からはいよいよ冷房の出番となりました。

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好天に恵まれた、この週末に行ってきた中津川・苗木城跡。

江戸期最小の城持ち大名(1万500石)遠山氏の山城です。

巨岩むき出しの岩山に、天然の巨岩と石垣を組み合わせた異形の城でした。

限られたスペースに清水寺のように懸造にして建物を建てていました。

明治時代に建物が壊されてしまったのは残念ですが、城址でも魅力的な史跡です。

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天守跡は懸造の展望台になっていて恵那山、木曽川、中津川市街を一望できる絶景ポイントです。山上をふきわたる風はまずまず涼しかったのですが、この日は直射日光の照りつけが強かった・・・

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まだ5月なのに、もう夏のような天候です。熱中症には要注意。

特に頻尿でお困りの患者さんは水分摂取が控えめになりがち。

屋外の活動時だけでなく、屋内で過ごす場合も脱水にならないよう水分、塩分補給を意識する必要があります。

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