秋の夜長に

雨の日が続きます。

秋の恵みに増えつつある体重を気にしつつも、こうも天気が悪くてはランニングも延期。

秋の夜長といえば読書ということで今夜も部屋に山積となっている本の中から発掘作業に励みます。まぁ暑くても寒くても年中やっている日課みたいなものですが、秋の虫の声が響く中の読書は風情があって格別です。

色々引っ張り出して読み始めると、あっという間に時間が過ぎていきます。

発掘品は医学書、解剖図譜、歴史書、小説、料理本などなど雑多ですが、児童文学も結構混じっています。児童文学といっても子供向けのやさしい本ばかりではありません。

あらすじを追ってはいけないナンセンス文学の巨峰「不思議の国のアリス」もなかなか手ごわい作品の一つですが、こちらは以前とりあげたので、今回はコレクションの中から「星の王子さま」(サン=デグジュペリ作)を少しご紹介。私の持っている訳本は新潮文庫版(河野真理子訳)ですが、人気を反映して数多くの邦訳が出版されています。この作品もザッと一読しただけでは謎だらけ。再読、再々読がどうしても必要となる物語です。読み直しては「疑問」を自分なりに解釈したり、考えたりすることが、哲学的童話ともよばれるこの作品の鑑賞の醍醐味の一つのような気もします。

作品で最も良く知られているフレーズ「心で見なくてはよく見えない。一番大切なことは目に見えない」は別れ際にキツネが王子に人生の秘密として伝える場面で登場します。それまでのエピソードから、ものごとの価値がそのものの価値によるのではなく、自分とそれとの間で結ぶ関係によって決まる(作中でキツネはきずなを結ぶと表現)ということを示していると考えていますが、読み手によっても色々とらえ方が変わる部分かもしれません。

「価値が目には見えない関係性の中にある」というテーマは印象的です。

おとなも楽しめる児童文学。秋の夜のお供にいかがでしょうか。

 

すっかり夜も更け、外の雨は小降りに。猛烈な台風が沖縄付近を通過中のようです。

皆さま災害にはお気を付け下さい。

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