節分

23日 今日は節分です。

明日から暦の上では春ですね。明日立春にかけては次第に南風が強まり、ところによっては春の嵐になる可能性もあるようです。みなさま突風にはご注意下さい。

節分といえば豆まき。室町時代には豆をまいて邪気(鬼)を追い出す行事が行われていたようです。

邪気といえば、熱っぽい、のどが痛い、咳がでるといった症状が出たとき「風邪」を引いたとよくいいますね。昔の人は邪悪な風が人間の体に災いをもたらすと考えて、呼吸器症状だけでなく腹痛、下痢などの病状に対しても「かぜ」の語をあてたとされています。日本では近世にはいってから漢語の風邪(ふうじゃ)も用いられるようになりましたが、これも「かぜ」と読むようになったのは明治時代から。

なお脳出血や脳梗塞など脳卒中の後遺症についても昔は「中風(ちゅうふう)」という言葉があてられており、「風に中(あ)たる」ということで、風が麻痺の原因となると考えられていました。脳卒中はかつて日本人の死因トップ。塩分の多い食事による高血圧が主原因と考えられています。歴史上の人物では上杉謙信や源頼朝、徳川吉宗などが脳卒中だったのではないかと言われています。上杉謙信は厠で倒れて一時意識を消失し、わずかに意識を取り戻したが遺言を書き残すことはできなかったとの記録が残り、脳出血だった可能性が指摘されています。「四十九年一睡夢 一期栄華一杯酒」との辞世の句が残るほどの大酒豪。伝わる酒の肴は梅干し、塩や味噌と塩分の多いものばかり。アルコールと塩分による高血圧が脳卒中の原因であった可能性があります。寒くなる冬は交感神経が緊張するため血圧は暖かい時期より上昇。寒いトイレでいきむと急激な血圧上昇をきたすことがあり脳血管障害の危険性が増します。戦国時代と変わらず現代でも冬のトイレは危険スポットであることにかわりありません。

春目前ですが、まだまだインフルエンザが流行中。今日は無病息災を願っての豆まきも良いかもしれませんね。

外出からの手洗い、うがいも忘れずに。

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大寒

1月20日、今日は大寒です。一年で最も寒いとされる時期ですね。

年明けよりインフルエンザも大流行。多くの患者さんがインフルエンザに罹患してクリニックを受診されています。

感染予防としてはワクチン接種以外にもいくつか方法があります。外出後の石鹸、流水での手洗いは手についたウイルスを物理的に除去する有効な方法です。なおノロウイルスなどとは違い、インフルエンザウイルスに対してはアルコール製剤による手指衛生も有効です。また空気が乾燥すると気道粘膜の防御機能が低下するためインフルエンザに感染しやすくなります。乾燥しやすい室内では加湿器などを使って5060%を目安に、適切な湿度を保つことも効果的です。現在クリニックでも待合、診察室、処置室で加湿器を稼働しています。人混みに出る時にマスクをする方も多いと思いますが、飛沫感染予防に対して、網目の荒いガーゼマスクは効果が乏しいので、インフルエンザ感染予防の点では不織布製マスクを選択する方がより効果的です。不織布製マスクは使い捨てが原則。使ったマスクにはウイルスが付着している可能性があるので、使いまわさないようにしましょう。

今週の後半は強い寒気が流れ込んできて、寒さになるようです。

これからが一番の寒さが厳しくなる時期。

十分な栄養と休養も感染対策に欠かせません。しっかり対策して冬をのりきりましょう。

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仕事納め

1229日。今日がクリニックの仕事納めでした。

朝起床すると、外が雪景色になっていてビックリ。

本格に冷え込んできて、体調を崩してインフルエンザと診断される患者さんも増加傾向。現在流行しているタイプはインフルエンザAのようです。

インフルエンザの病原体はインフルエンザウイルス。ウイルスといえば感染症の原因となったりして迷惑なイメージしかないかと思いますが、ヒトの全遺伝情報のうち約8%がウイルス由来といわれています。居候しているウイルスは遺伝情報の中にもぐりこんで遺伝子の一部となって共存する道を選ぶことで、いちいち感染したりする労力も必要なくなりました。もっともこれらの中には胎盤形成に関与したり、レトロウイルス感染への防御に働いている領域があることが知られており、人類以前の遠いご先祖様にウイルス感染がなければ、今の地球上の生命につながる進化は起きなかったことになります。

そうは言っても重大なダメージを与えられることもあるインフルエンザウイルスには感謝する気にはなれませんね。ワクチン接種は最も有力な重症化予防の手段ですが、今週久しぶりにワクチンの補給があり、多くの患者様が接種のため来院されました。

ワクチンの在庫はかなり少なくなっています。追加の補給の目途はたっていません。接種を希望される方は休み明け、お早めにクリニックにご確認下さい。

来年の診療は14日より開始します。

皆さま良い年末年始をお迎えください。

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冬至

12月22日。今日は1年で最も日の短い冬至です。
ここ2週ほど冷え込みが強くなってきて、風邪など体調を崩して当院を受診される方が増えてきています。インフルエンザと診断される患者さんも徐々に増えてきており、外出後の石鹸での手洗い、うがいや室内の適度な加湿など感染予防を気を付けましょう。明日以降日は長くなっていきますが、本格的な寒さはまだまだこれから十分な栄養と休養も含めて体調管理が大切です。

江戸時代より日本では冬至の日に柚子をうかべた湯船にはいる習慣が伝わっています。冬至と湯治の語呂合わせと、無病息災なら融通が利く(柚子が利く)といった洒落なようなものが起源といった説もあるようですが、ウイルス感染が猛威を振るう冬の時期、柚子の香気に邪気をはらう作用を期待した先人達の願いを感じます。

冬のウイルス感染の筆頭格のインフルエンザの重症化予防に有効な手段としてワクチンの接種がありますが、今年もワクチン供給が不足しており、まだ接種できていない方も多いようです。当院でも今シーズンワクチンの供給が少なくご迷惑をおかけしておりますが、来週わずかながら久しぶりの補給があり接種を再開します。接種希望される方はクリニックにご確認下さい。

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開院3年

10月に入りました。朝晩はずいぶんひんやりとするようになってきました。

1日の中の寒暖の差が大きくなっていますので、温度調節のできる衣服を選ぶなど工夫するようにしましょう。

 

秋が深まると流行しはじめるのがインフルエンザ。ワクチン接種は重症化の危険性を軽減する有効な手段です。

当院では今月15日よりインフルエンザワクチンの予防接種を開始します。

ワクチンの効果発現は接種から2週間ほどかかり、その効果は5か月ほど続くとされています。大流行の前に早めに接種するようにしましょう。

 

本日で当院はおかげさまで開院3年を迎えました。

地域医療のニーズは様々。健康上の問題が「泌尿器科」、「内科」といった枠組みを超えていることもしばしばで、幅広い領域の知見を押さえていく必要があります。

地域医療の中で役割を果たしていけるよう一層の研鑽を重ねてまいります。

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秋分の日

923日。今日は秋分の日です。

昼と夜の長さが同じ。つまり太陽が真東より登って真西に沈むことになります。

秋分の日は彼岸の中日とされています。

仏教のうちの浄土思想では西方浄土と言って、西に極楽があるとされているので古来より真西に太陽が沈む秋分、春分の日は仏に祈りを捧げるのに最適な日とされ、これが先祖供養の日としてのお彼岸として定着したともいわれています。                                                                                                      

「暑さ寒さも彼岸まで」と言われますが、朝晩はかなり涼しくなり1日の中の寒暖の差が大きくなっています。体調を崩して受診される方が増えていますので皆さま体調管理には気を付けて下さい。インフルエンザの患者さんも出始めていますので、外出後の手洗いうがいも心掛けるようにしましょう。

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夏と尿管結石

お盆に入りました。

暦の上では秋に入っていますが、今年は異例の猛暑が続き、体感上は夏の真っただ中。

脱水傾向になりがちなこの時期、尿管結石で受診される患者さんが増えています。

強い側腹部から背部にかけての疼痛が特徴的。今日も何人もの患者さんが受診されました。

基本的な予防は、尿の量を増やして尿の中の結石の原因となる物質の濃度を低下させること。結石形成の危険度は1日尿量が1000ml以下で増加、2000ml以上で低下することが知られています。水やシュウ酸の含有の少ないお茶(麦茶、ほうじ茶)をこまめにとることがお勧めです。

暑くてビールの美味しい季節ですが、ビールの大量摂取は尿中の尿酸増加や利尿作用に伴う脱水を招きやすく結石予防の手段としては不適とされています。おいしくビールを飲んで結石予防になるのなら、こんな良いことはないのですが、ちょっと残念。

結石の原因となるカルシウムを摂取制限すると良いと考える方がしばしばいらっしゃいますが、過度のカルシウム制限は、本来腸の中でカルシウムと結合して便の中に排出されていたシュウ酸が腸から過剰に吸収される結果になり、尿に捨てられるシュウ酸が増えることで、逆にシュウ酸カルシウムによる結石(最も多い尿路結石)が作られる危険性が増すことが知られています。日本人のカルシウム摂取量は不足気味であることが知られているので、カルシウムは乳製品、小魚などで意識してとる必要のある成分です。

厳しい残暑が続きますが体調管理に気を付けて、この夏を乗りきっていきましょう。

なお当院は今年もお盆休みはなく通常診療を続けております。

 

 

東区建中寺。境内では迎え火の準備が進められていました。

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大暑

今日は二十四節季の一つ大暑。

1年で最も暑いとされる、その名に違わず猛暑の1日に。

東京、岐阜、山梨では最高気温が40℃超えたそうですが、ここ名古屋も39℃を超え危険な暑さになりました。

このところの猛暑にクリニックの方にも熱中症の症状で受診される方が増加中。

熱中症の代表的な初期症状のひとつにめまいや立ちくらみがあります。

からだは暑さで体温が上昇すると、熱を逃がして体温を下げるため皮膚の血管を広げて対応します。脱水などと相まって全身を流れる血液量が減ると血圧が下がり、脳への血流が低下することによりめまいや立ちくらみ、時に意識消失を生じます。

初期対応としてはクーラーの効いた屋内や日陰の涼しい場所に移動して、衣服を緩めて風通しを良くして水分や塩分を補給することで多くの場合は改善が期待できますが、意識がもうろうとしていたり、自力で水分がとれないような状況であればすぐに医療機関の受診が必要です。記録的な猛暑の中での屋外の運動は危険なので避けるようにしましょう。 

今晩も熱帯夜が予想されています。寝ている間も熱中症の危険性があるためクーラーを積極的に使い、しっかり水分を摂取するようにしましょう。

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梅雨

梅雨に入り今日も名古屋は雨模様。

まだ夏前ですが、今年は気温が高く高温多湿。蒸し暑い日が続いています。

湿度が高く汗が乾きにくいこの時期は放熱が効果的でないため熱中症になりやすく警戒が必要です。汗腺の発達していない乳幼児や体の水分の割合の少ない高齢者は熱中症になりやすいので特に注意。こまめな水分摂取とエアコンなども活用してしっかり温度調節をしましょう。

梅雨の語源は梅の実が熟する時期という説や、湿度が高くカビ(黴)が生えやすい時期なので「ばいう(黴雨)」と呼ばれこの音が転じて梅雨となったという説があります。風情は梅の実ですが、医療面では体の表面に生えるカビ「白癬」(足に生えるといわゆる水虫ですね)が猛威を振るう時期でもあります。毎日の入浴で石鹸をよく泡立てて体を洗って清潔に保つことも予防法の一つです。糖尿病など免疫機能の低下のある方は足白癬の亀裂から細菌感染を起こして重症化することもありますので足裏のケアと観察を忘れずに。

 

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端午の節句

55日。今日は端午の節句です。

奈良時代には定着して広く親しまれている年中行事で、平安時代中期の随筆「枕草子」でも菖蒲や蓬の香りを楽しむ様子が描かれています。菖蒲も蓬も邪気を払う薬草とされており、軒先などにつるして無病息災を願いました。

鎌倉時代に入り武家社会になると同じ読みの「菖蒲」と「尚武」をかけて、鎧兜をかざって勇ましい男子の成長を祈る行事へと変化していきます。

端午の節句のスイーツといえば粽と柏餅。

粽は中国伝来の縁起物ですが、柏餅は日本で生み出された縁起物です。

柏の葉は新芽が出るまで古い葉が落ちません。

このことから柏餅は「跡をつぐ子供が生まれるまでは親は死なない」「子孫繁栄。家系が絶えず代々栄える」との願いを込め端午の節句に縁起物として食べられるようになったと伝えられています。家系の存続が至上命題の武家にとっては縁起のよい菓子だったのですね。

なお柏餅の柏は香りづけ用で食用ではありません。このあたり桜餅と違ってまぎわらしい… 子供の頃、知らずに柏の葉を食べたことがありますが、硬くて不味かったので全部食べてしまう人は少ないかな。食べても毒ではないようです。

粽と柏餅、どちらも捨てがたいですが、縁起物とはいえ糖質制限を医師から指示されている方はほどほどに。食後の散歩などの有酸素運動も健康面では有効なので積極的に取り入れましょう。

 

                    鶴舞公園で舞う鯉のぼり。端午の節句を代表する風物詩ですね。

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