遅ればせながら初詣に出かけようと思い立ち、古いお札を神棚から取り出したところ、お札の後ろから亡くなった義父の書き付けが出てきました。家内安全をお願いする文面で、署名捺印までありました。さらに、その奥から黄変し、乾燥して、ぼろぼろになった紙が出てきました。絵が描いてあります。立派な龍です。標題には「家内安全」とも書かれています。
家内に聞くと、彼女が育った家の壁に、物ごころがつく前から貼ってあったと懐かしがっています。最近物忘れがひどくなった義母に聞くと、戦死した義母の兄の生き残った戦友が連れてきた画家が描いてくれたと。そして義母の父親が、嫁に出す娘の行く末を案じ婿さん(義父)に持たせた絵だと判明しました。さすが古いことはよく覚えていらっしゃる。
さてさてそこで家内に懇願され、修復です。額も無く張ってったものを剥がしたためか中央が裂けていますが、これは修復されていました。しかし、きっちり折りたたんで神棚に長い間入っていたため、折り目がほとんど切れてところどころかろうじてつながっており5片ほどに分かれています。
台紙に両面テープで一片ずつ張ろうと思いつきましたが、難しそうです。道具箱をゴソゴソ覗いていると、黄変した紙とほぼ同色の、ペンキ塗りに用いるマスキングテープが出てきました。これを折り目の裏から貼って、欠損部は絵にかからないように表からも張って・・・。 義父によると思われる補修は、手作りの紙テープに「のり」で張ってある部分とセロファンテープで張り付けてある部分があります。補修は何回か行われたものと考えられます。問題はセロファンテープで補修した部分です。接着剤が変色し褐色になってしまっています。幸い龍にはかかっていないので、まさにマスキングテープを上から貼ってわかりにくくできました。
出来ました。
写真では補修跡がわからないくらいの出来栄えです。
木枠の額があればよかったのですが、手元になく、しばらくはアルミ枠です。
玄関の一等地に掲げました。
龍の形は「福」という字です。
「福」は我が家に来てくれるでしょうか