12月22日。今日は1年で最も日の短い冬至です。
冷え込みが強まっており、多くの方が体調を崩して来院されています。インフルエンザと診断される患者さんも増えてきました。
本格的な流行はまだまだこれから。外出後の石鹸での手洗い、うがいなど予防に気を付けましょう。室内の適度な加湿も感染予防に有効とされており、クリニック内でも加湿器を稼働させています。
江戸時代より冬至の日に柚子を浮かべた湯船に入る習慣が伝わっています。冬至と湯治の語呂合わせ、無病息災なら融通(柚子)が利くといった言葉遊びが起源との説もあるようです。
冬の伝染病の代表格インフルエンザは古来よりしばしば世界的に流行しており、紀元前412年「医学の父」ヒポクラテスは「ある日突然多数の住民が高熱を出し、震えがきて、咳が盛んになった。たちまち村中にこの不思議な病気が広がり、住民は脅えたがすぐに去っていった」とインフルエンザを疑わせる記録を残していますし、日本でも901年完成の「三代実録」の862年の記載に「多患、咳逆、死者甚衆」の記載があり、インフルエンザのことだと考えられています。江戸時代には少なくとも27回のインフルエンザの流行があったとことが記されており、そのうち1716年の流行では江戸だけで8万人の方が亡くなり、棺桶が足りずに桶で代用し、火葬場が順番待ちになった状況が記録されています。
江戸時代にはインフルエンザ以外にも天然痘、麻疹など危険な伝染病が猛威を振るっており、多くの人命が失われました。江戸時代末期にはコレラも加わり、例えば1858年に長崎に上陸したコレラは、瞬く間に九州、大阪、京都、江戸へと広がり、江戸では50日間に4万人以上が亡くなったと記録されています。薩摩の大名島津斉彬もコレラに罹患し亡くなっています。
冬至の柚子湯には先人達の無病息災を願う、切実な祈りがこめられているのですね。