熊本、大分で大きな地震が続いています。亡くなられた方々の冥福をお祈りいたします。また、被災され負傷された方、避難生活を余儀なくされている方々のご苦労は大変なものでしょう、早く通常の生活に戻れると良いですね。
東北の震災の時もそうでしたが、大災害が起こると必ず思い出すことがあります。
私が小学校の低学年の時、東海地方を大きな台風が襲いました。「伊勢湾台風」です。
当時名古屋の南部に住んでいて、高潮が海から流入し、近くの川も決壊、平屋だった私の家は軒下まで浸水し、貯木場から流出した家程もある大きな巨木が、人々を襲い、家々を破壊し、近隣でおびただしい死者がでて、同じ小学校の児童も30人以上が亡くなりました。
もう56年も経っているのに、いまだに「昭和34年」とか「9月26日」という言葉が心の奥底に響きます。土曜日でした。あの時のことは今でも克明に覚えています。
私は雨降りに敏感で、特に夜間降る雨には、不安を伴う何か表現しがたい感覚におそわれていました。就寝後でも、雨が降り始めるとほとんどの場合覚醒してしまいます。10年ほど前、それが「伊勢湾台風」のPTSDであることに気づきました。表現しがたい感覚とは、「恐怖」だったのです。それに気づいてからは、夜間の雨には気づかなくなりました。「心の傷」の深さ、不思議さに驚きます。
被災した私たちは父の知人の家に数か月間、身を寄せました。そこでは、その家の奥さん、おばあさん、お姉さんたちが優しく接してくれました。今から思えば随分甘やかされていましたが、自分では新しい兄弟ができたような感覚でした。また、近隣の小学校にも通いましたが、そこでもみなさんが優しかったのも覚えています。
九州で被災された方々の心の傷は私と同様なかなか癒えることなないかもしれませんが、周囲が暖かくしてあげることが大切だと思います。