人類の歴史と共に

暑い日が続きます。

熱中症で救急搬送される方も増えています。

脱水傾向になるこの時期、熱中症とともに患者の増加する病気があります。

尿管結石です。強い側腹部から背中にかけての痛みが特徴的で、しばしばひどい嘔気を伴います。救急車で搬送されてくる方も多いです。わが国では男性の7人に1人、女性の15人に1人は一生で一度は尿路結石に罹患すると言われており、かなりの頻度の高い疾患といえます。結石の歴史は古く、エジプトのミイラでも確認されています。昔から人類を悩ませていた疾患なんですね。日本でも昔から患者がおり、徳島で民間療法として使われていたウラジロガシのエキスは、現代でも排石促進薬として全国の病院で使われています(商品名 ウロカルン)。ウラジロガシはブナ科のいわゆるドングリのできる木のひとつ。ドングリの実の方は渋いらしく、あまり食用としては利用されてこなかったみたい。

予防のためには、しっかり水分をとることが大事。近年結石の罹患率は上昇しており、最近はメタボリックシンドロームとの関連も指摘されています。

メタボといえば、その中で生活習慣病のひとつとされる動脈硬化症が長寿社会日本では問題になっていますが、古代の世界4地域のミイラを調べた結果「動脈硬化の原因は特定の食物や生活習慣によるものではない」とする論文が、米国の医学誌「Lancet」に出ていました(Randall C. Thompson ら p1211–1222, 6 April 2013)。食生活、生活習慣の異なる世界4地域のミイラ137体をCTを用いて調べた結果、45体で動脈硬化所見があり、古代エジプト人、古代ペルー人、古代ブエブロ人、アレウト族(狩猟採集民族、海産物やベリー類を食べていた)のいずれにおいても一般的に動脈硬化が見られたとの結論になっています。メタボとは無縁の印象の古代人にも動脈硬化はあり、人類の歴史とともにある病態なんですね。

とはいえ油の多い食品や、運動不足が動脈硬化の進行を加速させるリスクがあることにはこの論文からは否定はできず、やはり生活習慣を適正化することは必要です。

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