インフルエンザ予防接種

朝夕ずいぶん冷え込むようになりました。そろそろ流行りはじめる病気にインフルエンザがあります。クリニックでも予防接種を開始しました。

典型的な症状は高熱、頭痛、関節痛、筋肉痛などで、のどの痛みや咳、鼻水などもみられます。ふつうの風邪とくらべて全身症状が強く、高齢者や慢性疾患のある患者さんでは気管支炎や肺炎を合併して重症化しやすいのも特徴です。

予防に手洗い、うがいなどが大切なのは他の感染と同様ですが、感染力が強く爆発的に広がる手ごわい相手。重症化を阻止するのに予防接種は有効です。

インフルエンザの病原体はインフルエンザウイルスですが、ウイルスとは変わった生物です。そもそも生物といえるのかどうかも微妙なところ。ウイルスは細胞内の蛋白合成工場であるリボゾームの機能を乗っ取って、ウイルスの遺伝情報だけを専門に読み取らせるようにします。そのため細胞は本来の蛋白をつくらず、せっせとウイルスの遺伝子とその構造蛋白を作ることになります。

自分の細胞が仕事を放棄して、やらなくてもいいウイルスづくりに励んでいるとはなんとも・・・ しかも24~48時間で細胞あたり10の6~10乗という莫大なウイルス粒子を全力で生産する大サービスぶり。お気持ちはうれしいのですが迷惑です。

ウイルスはすべてが他人まかせ。栄養もいらないし、呼吸もしない、移動もしない。遺伝情報とそれを支える構造体のみの極限までシンプルになった生命体(もはや物質?)です。

逆にいうと生きた細胞の中でしか存続できないので、できるだけ感染した宿主のなかで、共存しようとするものもでてきます。

例えば泌尿器科領域では性器ヘルペスの原因ともなるヘルペスウイルスがその代表。一度感染して免疫ができると、神経節の細胞の中にもぐりこんで眠ってしまいます。ストレスがかかったり、免疫が低下すると再活性化して再発を繰り返します。

なかにはウイルスであることすら、やめてしまい我々の遺伝情報の中に潜りこんでしまったものまでいます。遺伝子の一部になったので、いちいち感染する必要すらなくなりました。究極のズボラでしょうか。

ヒトの全遺伝情報のうち約8%がウイルス由来といわれています。我々の生命活動に必要な蛋白質を作っているのが1.5%程度に過ぎないことを考えると、かなりの大勢力ですね。

インフルエンザの話から脱線気味になりました。

なお予防接種をしてからインフルエンザに対する抵抗力がつくのは2週ほどかかります。成人の場合は5か月程度効果が持続するといわれています。昨年の全国的な発生は11月下旬ごろから始まったようですので、予防接種はおはやめに。

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ハロウィンなので今日はセンターだ!

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